臆病風


いったい何を描けば
いいと言うのか・・・
沈んでしまった心に感じられるものなど何の煌めきも無く
唯 乾いた麦藁の様で カサカサとカサついて潤いの無い
寂しさと ささくれた痛さだけが残る。
幾度となく繰り返された心の浮き沈み そんな日も在るさと
取り敢えずは此の自分への弱さと不甲斐無さを吐き出してみる。
南の方からは梅や桜 タンポポや土筆 華やかな便りが満載だというのに。
軒先の雪はまだ山の様 朝夕の寒さはストーブの火が欠かせない。
それでも日中は雪解けも進み ぬかるんだ泥跳ねで白い車は 瞬く間に
真っ黒に汚れてしまう。 
子供の頃は雪解け水の泥んこの水溜りでさえ嬉しかった。 
そうだ! 細い枯れ枝の先に松やにをくっつけて泥水に
浮かべたっけ・・・  棒きれはまるでモーター付きの船の様に虹色の
波紋を描きながらゆっくりと水面を走るのが楽しかった。
大きな水たまりから小さな水溜りへと 間の氷を削っては流れて行く
様子を見ているだけでもワクワクしたっけ。
あの子供の頃の様な好奇心や ワクワク感 いったい何処へ行ってしま
ったんだろう?  何時も想う どんな状況に在っても 素直に泣いたり
笑ったりする幼い子供達の目の輝きに 何時から自分は積み重ねた年齢に
こんなにも 臆病になってしまったのだろうと。