螺鈿の鏡と ガラスのハイヒール


いてくれて当たり前
そんな風に思っていた

突然に逝ってしまった
あの日から

母さんは 
いつもあなたのことばかり

日々頭から離れることは無くて


物静かなあなたは
いつだって不満は言わない
私が19で産んだ次男坊

我侭で離婚して
一番長くそばに居てくれたのは

そう!
あなただった

居なくなって初めて知る
あなたの存在感

職場の旅行で必ず買って来てくれた
私へのお土産

無造作に飾っていた
棚の上

あなたが居なくなって
無性にいとしさが込み上げる

たくさんある中で
韓国旅行での 螺鈿の姫鏡台

そして ガラスの地球儀と
ハイヒール

このときあなたは
いったいどんな思いで
私のために買い求めたのだろう・


まだ 若い身空で・・・