幾度の春を


待ちわびてる


心から


凍て付いた大地に
少しだけ近付いた
太陽の優しさが

長く伸びたツララの先に
嬉しさのあまり
キラリとこぼす涙の雫


早朝の固雪を踏んで
友と通った 学校への近道


ひび割れた氷の隙間から
チロチロと聞こえる
せせらぎの音


土の色
草の匂い
じっと堪える
花の蕾たちの微かな吐息


幾度と無く繰り返された
季節の移り変わり



なぜにこんなにも愛おしい



白から黒へ
汚れた轍の泥跳ねさえも



春を待ちわびる
鼓動の弾みへと移り変わる


後 幾度
この 北国の古里の
長い長い冬明けの
ざわめきと感動を


私は 生きて
味わえるのだろうか