淡雪の人


あれは 去年の暮れ
君を恋人の下へ帰そうと
必死に押し殺そうとしていた心
いつの間にか 綴る言葉は
優しさのかけらも無く
私は冷酷な人間へと成り下がってしまった
気が付けば 周りから人は離れ
孤独の淵に黙り込んでいた頃
突然 私の前に現れた人
いつも傍で見守っていてくれたように思う
決して押し付けるのでもなく
さり気無く ふわりと包んでくれる
どうにも抜けられない 八方塞がりの寂しさ
ある日 君への心の苦しさ 葛藤を打ち明けた
一人くらい 我侭言える人間が居ていいだろう
そう言って くれた言葉 どんなに救われた事だろう
不安定に揺れる私を 壁一枚向こう
リンク伝いに 毎日のように写真を投稿し
私の迷いを 諭すように 導くように
何時も 何時も傍に居てくれた
あなたが 突然 動きを止めた
小さな さよならの言葉を残して・・・
「ごめんなさい!」
私は自分の事だけで精一杯だった
自分の心を立て直そうと
あれや これやとただ夢中になって
何かを遣る事で気を紛らわせようとしていた
ぽっかり穴の空いた 心の隙間を
どうしょうも無く寂しく感じながら
今まで綴られてきた一つ一つの言葉をなぞりながら
私は何時だって自分の事ばかり
君との事だってそうだ
恋人の下へ帰そうと冷たくはなった言葉
君は どんなに傷付いていただろう
そして 君との心の苦しさを
ただあなたに凭れ 甘えていた
あなたの気持ちを 分かろうとしなかった
最後の さよならを見る前に

「あなたの幸せを祈りながら 一切の縁を解き放つ」
「二度と思い出すことの無いように」
「さよなら」

あぁ どうすればいいのだろう
今此処で あなたに言葉を掛ける事が
はたして良いのだろうか
「ありがとう」と声を掛けたい
「どうか幸せにと」 声を掛けたい
そうすれば 「さよなら」といわなければならない